覚書・念書・注文書とは
覚書とは
簡単な当事者間の合意の書面をさして、通常「覚書」と呼び、後日の証拠のために作成した文書であり、事実証明に関する法律文書です。当事者の署名押印、記名押印さらに印紙も場合によって必要。
覚書の形式的記載事項は、表題、当事者の住所(本店)、氏名(商号、代表者名)、作成年月日、当事者の署名(また記名)押印です。
契約書との違い
- 第一が表題に覚書となっていること、
- 第二が、内容において、契約に対して従たる関係にあること。
覚書の注意点
- 契約書であるべき書類を覚書にしたり
- 覚書でよいものを契約書にすることはできるだけ避ける
覚書を利用する場合
- 正式の契約に至る前段階において、当事者間で一部合意した事項を、経過的に確認しておく場合
- 契約書成立後、条文の一部に解釈上の疑問が生じた場合等、疑問点を明確にする目的として利用
- 契約の重要でない一部の変更
例:履行の延期、地代の額の変更など
念書とは
念書は一方の当事者が他方に差し入れる形式をとった書面をいいます。「・・・右念のため本証を差し入れます」という文言で結んでいるため、念書と呼ばれています。このような書類は、当事者が法律上意味のある約束をしたことなどを記載し、これを後日の証拠のために作成した文書ですから、これまた事実証明に関する法律文書であるといえます。
内容は自由で債務の引受書であったり、連帯保証契約書であったり、さまざまな法律上の意味と内容を伴っており、場合によっては印紙を貼らなければなりません。
念書の形式的記載事項は、表題、当事者の住所(本店)、氏名(商号、代表者名)、作成年月日、当事者の一方が署名(または記名)押印で、当事者の他方は宛名として表示されます。
契約書との違い
- 従たる事項の場合を証明するために作成される文書。
例:債務の支払が期限に遅れたけれども、「来たる平成○年○月○日までには返済します」というような債務者の約束の場合に利用。
ポイントとして、重要事項は契約書を作成し、軽易な変更や確認は覚書や念書の作成と使い分けを上手に。
注文書は一定の条件が整えば契約書の代用になる
注文書によって契約書の作成を省略することができます。商品の売買では、特別な場合を除き、契約書を作ることは少なく、取引にスピードが要求され、契約書を作成する労力と時間を省略する必要があるからです。商品の売買だけではありません。下請けに対する委託加工契約なども、実際は請負契約書を作らず、注文書で代用しています。
注文書、注文請書 注文書は契約の申込みを証明する文書です。これだけでは、正確にいうと契約書にはなりません。契約の申込みに対しては、申込みを承諾したという相手方の意思が何らかの形であらわされていなければなりません。一般には、注文請書の発行という形で、契約の申込みに対する承諾がなされます。したがって両者が一体となって契約を証明する書面になり、りっぱに契約書の代用になるのです。