契約書と公正証書
契約書を公正証書にするとどういう効果があるか
公証人が当事者の委嘱を受けて法律に基づき作成した証書を公正証書と呼んでいます。もちろん、通常の契約書はすべて公正証書にすることができます。公正証書による契約書が好んで利用されるのは、金銭消費貸借契約書、不動産賃貸借契約などです。
公正証書にする理由
証明力
その契約書が正規の手続に従って作成された公正証書として認められた場合は、その書面が真正なものと推定され、公的な証明証書になります。
執行力
公正証書の正本に基づいて、強制執行をすることができる。
強制執行の範囲
- 家や土地の明渡はできない。
- 一定の金額の支払、米や麦などの代替物、有価証券などの一定の数量の給付を、はっきりと公正証書に規定している場合に限られる。
公正証書の作り方
本人で作成する場合
- あらかじめ契約書の案と当事者全員の印鑑証明書(六か月以内)をそえて、公証役場に持参し(持参するときは当事者のうち一人でもよい)
- 各当事者全員が公証役場に出頭して署名する日時を打ち合わせ。
- 当事者全員が実印をもって、あらかじめ打ち合わせた日時に公証役場に出頭。
- 公証人から契約の内容を読んで聞かせてもらい、各当事者が公正証書の正本もしくは謄本が交付。
代理人による場合
代理人によって公正証書を作ることも可能です。
- 契約書案に委任状を添付し、委任者が署名押印(実印)して、
- 委任状と契約書案にわたり、かつ契約書案自体も各葉にわたって割印をし、印鑑証明書添付。
- 委任文句は「別紙契約書案に基づき執行認諾約款付公正証書を作成することを公証人に嘱託することに関する一切の件」とします。
- 代理人自身も印鑑証明書と実印が必要です。
- 代理人が当事者に代わって公証役場に出頭して、前に述べたように署名押印します。
代理人にする利点は、一方の当事者が多人数の場合でも、一人の代理人に委任することができることです。